働くひと

フィリピン人スタッフに聞いた。「日本人の、ここが変」

 

西條:
1973年生まれ。〜ENVIZION PHILIPPINES, INC. CEO〜。ポストバブル世代。浪人生の頃からクラブ通いを始める。様々な国を渡り歩いた後、レアジョブへ。2018年9月、Ripple Kids Educational Services, Inc.のCEO就任予定。
 
水島:
1990年生まれ。〜ENVIZION PHILIPPINES, INC. COO〜。ゆとり世代。新卒Googleから、レアジョブへ。2018年9月、ENVIZION PHILIPPINES, INC.のCEO就任予定。
 
 

さて、レアジョブの新たな拠点作りとしてここフィリピンミンダナオ島に来て、早くも2年が経ちました。今ではフィリピン人スタッフの数も200人を超え、毎日楽しく働いています。

ですね。

今日は、フィリピン人スタッフから、我々「日本人」が、どのような印象を持たれているのかアンケートをとるという企画を記事にしたいと思います。フィリピン人の日本人に対するイメージを皆さんにシェアすることで、今後の外国人の方との仕事に役立てて頂く、という意図があります。

いいですね。率直な意見が聞きたいですね。

というわけで、本心で思っていることを書いて貰うため、匿名でアンケートをとって参りました。選んだのは、いつも僕ら日本人の近くで働いているフィリピン人スタッフ、5人です。

質問はどんな感じですか?

仕事の場において「変だ」と思ったことと「良い」と思ったところ、あと、プライベートで「変だ」と思ったところと「良い」と思ったところ。合計4つです。

なるほど。

日本人は、一体、彼らの目にどのように映ったのか。それでは、早速みていきましょう。

 

Q:日本人と一緒に働いてみて、ここが変だな と思ったところを教えて下さい(是非ぶっちゃけて下さい!)

1:しゅんさんばパワポのスライドやスプレッドシートのデザイン、フォーマットにめっちゃこだわる。 やすさんはものすごーーーーく、細かいところに敏感。句点までみる勢い。
 
2:しゅんさんはデコレーションやデザインにめちゃめちゃ敏感。
 
3:なぜだかわからないけど、二人のうちの一人は椅子に座らないで、机の前で立ちながら仕事をしていることがよくある。
 
4:私にとっては、彼らは何も変なところはない。
 
5:しゅんさんは仕事中に立っている。

まずは、仕事において「変だ」と思ったことについては、こういう結果になりましたね。しゅんさん、というのは、僕です。水島です。

どうも、1と2を見るに、「細かいところにこだわる」という風に映っているみたいですね。神は細部に宿る、という言葉に表されるような、日本人に古来から伝わるきめ細やかな国民性が出てしまったんですかね、これは。

まあ、そうですね。確かに水島君は、細かいよね。

僕が、ですか?


 

普通の日本人よりも細かいと思うよ。例えば、パワポのボックスの幅とかフォントとか、オフィスの壁紙デザインとか、色々、物凄く細かくチェックするじゃない。最初はスタッフも「なんでこの色にしたの?なんでここにスペースを作ったの?」とか聞かれて困ってたよね笑

自分では気づきませんでしたが、細かいというか、「こだわりがある」のかもしれないです。父が異常なほどに細部までのこだわりがある人で、その影響を受けてると思います。あとは小学生の時に尊敬するサッカーのコーチから、「水島は何のためにドリブルをするの?」という当時の僕には非常に哲学的な質問をされ、それ以降、プロはすべてに理由や意図をもってやるべきなんだと思うようになりました。

なるほど。でも、興味がないことは全く気にしないよね。

はい、全く気にしないですね笑

というか、西條さんこそ、細かいですよね。誤字とか、必ず発見しますもんね。例えば、200人のスタッフ全員のインセンティブ(成果給)を承認するときに一瞬で間違いを見つけたときは、スタッフはこの人はすごいを通り越して変態だなって思ってましたよ。

誤字は前々職の翻訳会社でドキュメントのチェックをしていたからかもね。細かいかも。

あと、水島君は人が髪型やメーク変えたり、新しい服着てると必ず気付くよね。あれ何なの?メーク変わったのが気付くとか少し気持ち悪いよね。

たしかに何なんですかね。特に注意しているわけじゃないんですけど分かっちゃうんですよね。ただ、たまに仕事がめっちゃ忙しくて気づけないと社員に怒られるので、最近はプレッシャーに感じてます笑

自分の首を自分で絞めてるよね笑

 

 

あと細かさ以外で、彼らが気になっているのは、3と5で言及されている、仕事中に立っている、という点ですかね。

これは水島君の健康に対するこだわりでしょ。

日本人は全員立って仕事してる、と思われてたらまずいですね。

Q:日本人と一緒に働いてみて、ここは真似したいな と思ったところを教えて下さい

1:フィリピンと日本で文化が違うのに二人とも適応能力が高いので、徐々にフィリピン流のやり方を学んでいっている。以前は問題を直にすぐ共有していたが、これまでの経験から学んだのか、情報をまとめてからわかりやすい形にしてフィリピン人に共有するようになった。私も二人のように異文化のある仕事場での適応力を持ちたい。
 
2:しゅんさんはすごく細かいところにこだわる。なので、自分の仕事も同じようにできるだけ細かいところまで目を配るようにしている。
 
3:日本人の上司は従業員のことを本当にケアする。さらにプレッシャーのある中でも気品、愛嬌を保つようにしている。それを見て、自分の人に対するアプローチの仕方を考えなおし、単に厳しくするだけではなく、より「人」を尊重するようになった。
 
4:日本人の上司はすごく良く働き、いつも全てをみて対応している。さらに、仕事の細かい部分までみているので、それも説明できるようにしなければいけない。そのようなところに刺激をうけた。
 
5:日本人の上司はきちっとしている。我々も見習うべき。

 

1は適応力が高いと褒めて貰いましたね。3も、アプローチの仕方を変えてくれた、と。

フィリピンの人は良い意味でプライドが高いので、絶対に他の人の前で注意しないように、という風にフィードバックの仕方を変えたのはあります。

確かに、それはフィリピンあるあるですね。ただ、普段よく聞くフィリピンあるあるも、実際に経験すると必ずしも正しくないことがわかりました。

たとえば?

よく言われるのは「フィリピン人は頑張って働かない。職務記述書に書かれた内容以外やらない」といった類のものです。これは気質的なものだけではなく、今までの環境によって引き出されていた結果です。例えば、多くの会社では派遣社員を雇うことが一般的で、いくら頑張っても昇進などの将来はありません。そのような環境であれば、日本人であっても多くの人は最低限の仕事内容しかやらないと思います。うちの社員は非常によく働くし、役職関係なく必要なことは何でもやります。

確かにそうかもね。それは会社のミッションに共感してもらったうえで、それを達成するためには柔軟に変化することの重要性、会社としての将来性、個人の成長機会をきちんと伝えられていることが大きいかもね。あとは俺も水島君も率先垂範で示せてるんじゃないかな。水島君はトラブルがあった時とか、必要があれば現場で先頭に立って走り回ってるもんね。

西條さんも、社員が暑いといえばオフィス中を走り回りエアコンの温度調整してますもんね。

馬鹿にしてるでしょ。

あとは、2、4、5は、再び、「細かい」とか「きちっとしている」とかですね。

どんだけ「細かい」んですかね、我々は。

うん、相当細かいと思われてそうですね、これは。なにせ、回答における「細かい」関連の割合が、ちょっと異常だからね。

ただこれは、「日本人は」とかの括りではなくて、シンプルに俺と水島君が細かいだけの可能性があるよね。日本人の中でも細かい方の二人がたまたま上司になってしまったというだけかもしれない。もしかすると、日本人200人の部下を持って同じアンケートしても、同じ回答になったかも。

なるほど。ただ単に、二人とも細かいだけだと。しかし僕のは先ほども申し上げた通り、「こだわりが強い」ということなんですけどね。西條さんは、「細かい」です。

 

 

さっきから、何で君は「細かい」の定義付けで俺をマウントしてこようとしてるの?細かいもこだわりも、同じでしょ。

いや、違いますね。僕はただ単に「細かい」のではなくて、「要求が高い」んです。それが細かさにつながる。一方の西條さんは、「シンプルに細かい」です。「ただ単に細かい」とも言います。これは、西條さんの独身男性としての性が出てしまっているんですかね。

やめてくれる?なんか、俺だけ偏屈独身ジジイみたいになってるから。物凄い悪印象になってきてる。

明確にしておかないと。

というか、この「フィリピン人は日本人をどう思っているのか」という記事コンセプトの企画倒れ感、ヤバいね。今のところ、ただの西條と水島への感想でしかないような気がしている。

僕も物凄い不安を感じてます。

Q:日本人の普段の生活を見ていて、ここが変だな と思ったところを教えて下さい(是非ぶっちゃけて下さい!)

1:しゅんさんはペンとノートのブランドにめちゃくちゃこだわる。ブランドに対するこだわりが強いんだと思う。 やすさんはお酒をちょっと飲んだだけで赤くなる?笑
 
2:しゅんさんはいつも朝食を食べない。
 
3:日本人は異性関係において本当に本当に控えめだ(例:私たちが日本人の一人に、彼の奥さんがいかにかわいいかと褒めたら、彼はすごくシャイになって謙遜する)。フィリピン人にとっては、彼氏彼女を自慢するのはあたりまえなので、日本的な謙遜を説明されるまでは、そのような謙遜はちょっとおかしく感じた。
 
4:特になにも変だと感じることはない。たぶん私は単なる理想論主義なので、彼らがやることはなんでも感謝する。
 
5:しゅんさんはミルクを飲まない。彼によると、人間ではない動物のミルクを飲むのはおかしいって気が付いたからとのこと。
 

1と2は、僕がペンにこだわったり、あと朝食食べなかったりという話ですね。こだわりの話ですね。

うん、日本人を主語に一般化することはできないやつだね。あ、3は日本人の特徴じゃないかな?控えめ、だって。

本当ですね。奥さんを褒められたので謙遜したら、非常に不気味に映った、と。

彼らは、自分の妻や夫、あと彼氏彼女を自慢するのが当たり前だもんね。

そうですね。

あとは、5の、水島君がミルクを飲まない、という話だね。飲まないの?

飲みませんね。というか、というか、人間だけですよね?他の動物の乳を飲む生き物。冷静に考えてみると、けっこう不気味ですよね?

まあ、それは分かるかも。俺もアメリカで似たような文献読んで、一時期ミルク飲むのやめたことある。その後、また飲み始めたけど。

ってか、何ですかね?このやりとり。なんで男が二人でミルクについて語ってるんですか?

 

 

いよいよ、何の企画だか分からなくなってきたね。

恐ろしい気持ちになってきました。

Q:日本人の普段の生活を見ていて、ここは真似したいな と思ったところを教えて下さい

1:私は彼らからコミットメントすることの大切さを学んだ。彼らは今までの安楽な生活から遠く離れ、多くのことを犠牲にしてこの地に来ているに違いない。多くの困難がある中で、彼らは忍耐強くやっている。それらを見てもわかるように、彼らの信念は薄ぺっらいことなんかでは揺らがない。
 
2:私見ですが、やすさんとしゅんさんはすごく感情的に強いと思う。家族と長い間離れ離れになってるのに。
 
3:「改善」がとても大切だと思う。私との朝礼の中で、しゅんさんはときどき週末に何をしてたか話す。よりよいビジネスパーソンになるために本を読んでいるのもその一つ。
 
4:仕事に対する責任と献身、そして個人の生活でも同様。
 
5:彼らは何よりも健康第一。

 

 

1と2と4は、ここカガヤン・デ・オロに来て仕事をしていること自体に対してという感じですかね。家族と離れて仕事をするなんて、精神的に強い、という感想を頂いています。信念もってやってる、と。

この島の人は、家族をおいて海外に行くっていう人があまりいないから、それが珍しいのかもね。あと、2人ともあまりネガティブな感情を外に出さないから、それで精神的に強いと思われてるのかも。

いや、僕は奥さん日本においてきてますけど、西條さんは独身じゃないですか。

うるさい。

でもたしかに、西條さんは感情をあまり表に出さないですよね。そういう、感情面のコントロールの仕方なんかは、僕もこの2年で西條さんに学んだことのような気がします。ただ、サプライズされた時くらいは頑張ってリアクションしてください。

頑張る。

次に3は、僕の「改善」が凄い、と。やはりこれは、「こだわり」の強さですかね。

もう、こだわりの下りはいいわ。

そしてラストの5は、健康第一。

これに関してはもう、よく分からないね。

ですね。

終わりに

 

いや〜、企画としては、「フィリピン人からみた日本人!」みたいにしたかったんですけど、あれですね。日本人のサンプルが少な過ぎましたね。日本人2人しか知りませんからね、こちらのフィリピン人は。

そうだね。これではどんなにアンケートをとっても、「日本人の特徴」ではなくて「2人の人間の特徴」になってしまうね。

今後、物事を一般化したいと思った時には、サンプルとして充分な母数を確保しましょう。ということが学びとして得られましたね。至極当然のことですが。

間違いない。

ただ、社員の方々が僕らのことを思っていた以上によく見てくれていたので嬉しかったですね。

たしかにそうだね。少し感動した。

これからも頑張りましょう。

頑張る。

というわけで、有難う御座いました。こんな感じでやってますんで、皆さん、ミンダナオ島に遊びに来て下さいね!