働くひと

フリーランスエンジニアとしてそれなりに稼いでいた人が、ふとサラリーマンに戻った話

インフラチーム 塚田
1984年生まれ。専門学校卒業後、20歳からIT業界に携わる。23歳でフリーランスとして活動。金融系のエンジニアを経てインターネット系に転身。2016年レアジョブにジョイン。
聴き手インタビューをする為に雇われた、外部の人。

いきなりなんですが、フリーランス時代は、いくらくらい稼いでいたんですか?

い、いきなりですね…。

一番気になるところではありますので。

フリーランスの時は、年収にすると1,000万円くらいだったと思います…。

え、凄いじゃないですか…。

フリーランスエンジニアとしての始まりと、キャリア

もともと、どういう経緯でフリーランスのエンジニアになったんですか?

フリーランスになろう、とか思ったことは一度もなくて、専門学校を卒業してからそのまま小さな技術系の会社に入ったんです。そこはお客さんが日本総研だったので、会社から何人か日本総研に常駐していて、僕もその一人でした。

Javaのエンジニアだったんですが、当時スキルも何もなくて、さらに大学を出ていないというコンプレックスもあったりして、自分に自信はありませんでしたね。そこで手取り20万円くらい貰いながら、20歳の時から3年間ほど働きました。

エンジニアとしてのスキルは、どうやって磨いたんですか?

磨いた、というか、常駐先の方や会社の先輩に教えてもらうような感じです。当時は常駐先で徹夜だとか当たり前にあったので、自分には何もないしガムシャラに頑張る姿勢だけは見せていました。

なるほど…。そこから、どうやってフリーランスになるんですか?

古い体質の会社だったので、常駐先で頑張っていると人間関係も構築出来て、次第に常駐先の人が気にかけてくれるようになったんですよね。「君はどういうキャリアを歩みたいの」とか聞かれるようになりました。

何て答えたんですか?

当時、セキュリティシステムに漠然とした興味があったので、そういうのやってそうな金融系の会社でエンジニアやりたいということを話しました。すると、金融系シンクタンクを紹介してくれたんです。

しかし、学歴の問題で大企業の社員にはなれないと思っていました。しかし、業務委託であれば、あくまでも委託契約なので学歴関係なく仕事できる事が分かりました。そこから、サラリーマンは辞めて、業務委託としての契約を持って金融系シンクタンクに入りました。23歳の時ですね。

そのサラリーマン辞めて最初の業務委託って、いくらくらいの契約だったんですか?

残業とかもつくようなシステムだったんですが、この時ですでに月に80万円くらいは貰っていたと思います。

凄いです。

フリーランスをやる中での心境の変化

 

その金融系シンクタンクの後は、どんな会社に入っていたんですか?

そこと契約を持っていたのは2-3年間くらいで、その後、1年間ほどシステム会社と契約を持って、次にインターネット系にシフトしたいなと思いDeNAとの契約に至りました。

なので、振り返ってみると、10年近くフリーランスとして働いていたことになりますね。年収だとかは、その時々によって多少は違いましたが、まあ大きくは変わりませんでした。

フリーランスとして働いている間は、どういうモチベーションだったんですか?

最初は、純粋に自分の会社の仕事以外の分野に興味があったのと、あとエンジニアとしてのスキルを深めるだけじゃなく会計まわりだとか、幅広く知識をつけたいと漠然と思ったんですよね。

ちょっとした興味と、スキルを磨きたい気持ちでフリーランスになった、と。

そうですね。勿論、フリーランス始めた当初は、フリーランスとして収入面でどこまでいけるかな、とかも考えました。ただ、所得税の問題で、1,000万円を超えるのであれば一気に超えないと余り意味がないので、そこは簡単じゃないなと直ぐに気付きました。

あと、冷静に考えるとお金を使う方じゃないのでお金の追求だけではモチベーションが保てませんでした。

なるほど。

で、次に、フリーランスをやる中で、このまま何かしらの形で起業しようかなというような選択肢も見えてきたんですが、もともと「この事業を絶対にやりたい」という拘りとか執着みたいなのがあまり無いんですよね。

なので、起業といっても人材紹介業くらいしか出来ないだろうし、それを始めてもある程度のお金になったとしても、それもあまり力は入らないだろうな、と。僕自身は人材紹介という仕事自体に興味を持っているわけではないですし、もっとお金が欲しいわけでもないですし。

なるほど。じゃあ、フリーランスをやる中で、モチベーション的には行き詰まっていったんですか?

はい、正直、行き詰まりましたね。自分が外部のエンジニアとして、ある程度の貢献できているな、ということを感じていても、何か、「没頭出来る」感じとは違うんですよね。

自分は何の為に働くのか、ということを、自問自答するようになりました。「お金」とか「スキル」とかじゃない何かが目的になって働いている状態に、憧れたというのがあると思います。そういうものの為に働く環境に身を置きたい、と思いました。

会社員へ

どういう理由で、レアジョブなんですか?

フリーランスとして働いている時に、とある先輩が会社を立ち上げたと言うのである日マレーシアに行く機会があったんです。1週間くらいいたんですが、全く英語話せないし、打ちのめされたんですよね。

それで、普通にユーザーとしてレアジョブ英会話を始めました。それが2013年の頃ですね。英語話せるようになりたいな、海外で通用する人材になりたいな、と思いながら仕事の合間に英会話のレッスンをしていましたね。

紹介ではなく、自分でレアジョブにアクセスしたんですか?

そうですね。フリーランスとしてのモチベーションに問題を感じていた中で、単純に、「日本人が英語を話せるようになるのをサポートする」っていうのはそれ自体が仕事をする動機になりえるんじゃないかなと思ったんですよね。

なので、会社の調査でもいこうかなと思って中途採用を見て、面接に出向いて、ミッションに共感しているんですということを伝えて、という流れです。

フリーランスを続けて、レアジョブに業務委託で入る選択肢もあったんじゃないですか?

最初はそうしようと思っていたんですが、その後、レアジョブの中の人とご飯に行く機会があって、マンパワーが欲しければ業務委託で良いのだけど我々は“仲間”が欲しいというようなことを言われて、「なんか、そういうの、良いかもな…」って思ったんですよね。よく分かりませんが(笑)


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実際、10年もフリーでやってると、常駐先に入っているとは言え、割と孤独ですからね。皆でミッションに向かって頑張る、みたいなのが羨ましく感じたりするもんです。

はあ。

で、僕の場合は、「仕事をする理由」みたいなところを根本から見直したかったので、このタイミングでフリーランスから会社員に戻るのも、アリなのかなと。

会社員に戻るにあたって心配なこととか、無かったんですか。

一つは、フリーランスからサラリーマンに戻ると、個人事業主として失敗したんじゃないか、上手くいかなかったんじゃないかと周りに思われますよね。小さなことのようですが、それは気になりました。

確かにそうですね。

あとは、単純にお金ですね。個人事業主としてはそれなりに貰っていたので、そこと比べると多少なりとも下がってしまいます。まあ、でもそれは自分にとってはそこまで大きな問題ではありませんでした。

当時、BCGからレアジョブに転職した人のブログを読んでいて、その人が「給料の話をする前に、入りますと言いました。」と書いてあったのを見て、なんかカッコイイな…と思ってしまったんですよね。そういう働き方に憧れがあったんだと思います。

意識は、なぜ変わるのか

実際、10年ぶりに会社員に戻ってみて、どうですか。

新卒で働いていた時とは、だいぶ気持ちが違いますよね。まあ一人で色々やってみてから自分の意志で会社員に戻っているので、何となく会社員になった時と違うのは当たり前なんですが。

会社員としての動き方がなまってる、とかないんですか?

正直それはありますね。誰に何を言ったら良いか分からない、とか。そういうホウレンソウの基本とか良く分からないですからね。とりあえず上長に報告しておくか、みたいな感じで0からサラリーマンをやっています。

でも、チームが何かの目標に向かって一丸となってやっているというのは、やっぱり楽しいですね。率直なところ、仕事をしているという感覚は全くないです。自分はこういうのを求めてたんだ、これだ、っていう感覚なんです。

塚田さん自身も、働く中で目的が変わっていってると感じたのですが、そういう“意識”って、なぜ変わっていくんですかね。働く目的、というか。

やっぱり人間って、「ないものねだり」なんじゃないかと思うんですよね。自由がなければ自由が欲しい。お金がなければお金が欲しい。

自由とお金を手に入れると、今度は何か、それとは違う「働く目的」みたいなのが欲しい。自分が何かの為に存在しているんだ、という理由みたいなのが欲しくなる、というんですかね。ビジネスで成功して巨大な資産をつくった人が、それを全て寄付するとか、そういうのにも通ずるところがあるかもしれません。

なるほど。

振り返ってみると、仕事に対するモチベーションの源泉によって、フリーランスの方が良い点も会社員の方が良い点も、色々あったと思います。自分にないものが欲しくなって、 “意識”だったり“仕事に求めるもの”は、どんどん変わっていく。そんな風に思います。

だから、給料が下がるとしても会社員になることが、“今の34歳の僕にとって”、とても合理的な選択だったという、本当にただそれだけのこと。

スキル、お金、自由、ときて、次は働く目的。サラリーマンとしてそこを満たすと、その更に次は、どんな世界が見えてくるのか。今から、自分でも楽しみなんです。