杉山:小学校~大学、教育機関に対するオンライン英会話の導入のため、レアジョブ ”スクール事業部”の立ち上げメンバーとして、サービス開発、アライアンス、営業を幅広く担当。
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今年、34歳になった。4年前に長女、2年前に次女を授かり、1人の父親として「彼女たちが生きる力を身につけ、幸せになってもらいたい」という気持ちが自然と芽生えた。
彼女達には、これからますます変化の激しくなる世界で、どうか既存の価値観にとらわれず、自分らしく人生を切り開いてほしい。
僕は、多様な価値観やバックグラウンドを持つ人と繋がるためのツールとして重要になる「英語」を身につけてもらうために、学校向けにオンライン英会話を提供する仕事をしている。
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約2年前、2015年9月。家族4人の生活が始まったころ、
今後の事業戦略の策定をする時に、改めて「事業への想い」を文字に残した。
“2022年、長女が小学3年生になり、新たに対象年次が下がった
外国語活動を受講することになります。
それまでにレアジョブが提供するサービスが学校現場に普及し、
彼女が将来行くであろう学校でも英語の授業で当たり前のように
外国人講師とのレッスンがされる、そんな未来を作りたいと思います。
そして、そのサービスを広めたのがパパであることを、少しだけ自慢したいと思います。
猶予は7年間。どれだけ時計の針を進められるかの勝負です。”
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オンライン英会話を学校へ導入するというのは、どういうことか。
事業部にとって転機となり、個人としても思いを強めるきっかけとなったのが、
2015年9月にスタートした佐賀県上峰町立上峰小学校におけるオンライン英会話の委託事業。
公立の小学校は市区町村の教育委員会が所管するため、
外部、特に民間企業がサービスを提供するということはその自治体の「税金」を活用することになる。
つまり、オンライン英会話を公立の学校で導入するためには、その自治体の様々な関係者との「連携・協働」をし、
このサービスを行うことについての「趣旨や意義を共有する」ことが必要となる。
もちろん、聞いたこともない会社の受けたこともないサービスに対して、
不審感を抱き、懐疑的な声や空気に、何度も直面する。
導入に関しては、町長をはじめ教育委員会の方々が、学校の先生方、児童や保護者の皆さん、議会に至るまで、
関係する方々に、この事業を行う意義を繰り返し丁寧に説明されていく。
必要に応じてオンライン英会話を体験をしてもらう等して、いよいよ学校へ導入する運びとなる。
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第1回の授業が始まる前、校長先生から
「児童から『今日外人のセンセーと話すんやろ?俺いややー』って言われたよ(笑)」
と、冗談半分で言われたが、立ち合いの際にはほとんどの児童が何とか一人で
15分間のマンツーマンの時間を乗り越えていた。
2015年度は小学校6年生のみを対象に週1回(計20回)、
2016年度には対象を小学校5年生まで広げ、5年生に月2回程度(計8回)、
6年生には週1回(計20回)のレッスンを行った。
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さて、オンライン英会話を通じて外国人と触れ合うことは、
小学生の意識にどのような影響をもたらすのだろうか?
誤解を恐れず言えば、オンライン英会話は英語習得の「万能薬」ではない。
英語を習得するために必要とされる約2,000時間のうち、
15分×20回のレッスンで得られる発話量はたったの「5時間」。
単純に計算すると全体のたった0.25%しか確保できていない中で、
児童の英語力の「劇的な」向上を望んではならない。
2016年度に行った児童アンケートでも、
全体の7割が自分の英語が外国人に伝わっていると感じる一方、
3割の児童は「あまり思わない」「ほとんど思わない」と答えている。
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では、学校におけるオンライン英会話の本質的な価値は何か?
それは、「3つの機会」を子どもたちに提供することで、
彼らの意識に対して影響を与えることだと思っている。
1つ目は、子どもたちが住んでいる地域に関係なく、異文化と触れ合う「機会」を持つことによって、
英語が好きになり、「外国に対する興味・関心」を高めるということ。
アンケートの中でも、「外国の人と話すことが好きですか?」という質問に対して、
「とても好き」と「少し好き」と答えた児童の割合が47%から92%と大幅に向上した。
また、「外国に行ってみたいと思いますか?」という質問に対して、
「とても思う」「少し思う」の割合が63%から72%に改善する等、
いわゆる「国際志向性※」と呼ばれる項目に影響が出ている。
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2つ目は、異なる価値観・考え方に触れる「機会」によって、
異文化への気づきを促し、多様性に対して「寛容さ」を育むきっかけとなること。
「外国の人と話すことで、日本と外国の似ている部分や違いを見つけることができますか?」
という質問に対し、「できる」「ある程度できる」の割合が48%から79%まで向上し、
9割近い児童が「世界にはさまざまな人たちが生活をしていることに気が付いた」と答えている。
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そして3つ目は、マンツーマンでの成功体験を得る「機会」によって、
子どもたちが英語を使ってコミュニケーションをすることに対する「自信」をつけること。
「英語を使って外国の人と1人で話すことができますか?」という質問に対して、
「できる」「だいたいできる」の割合が17%から62%にまで改善した。
また、「外国の人と英語で話す時に、緊張しますか?」という質問に対しては、
「とても緊張する」「少し緊張する」と答えた児童が84%から35%まで低減しており、
マンツーマンで会話をする機会はたとえ児童にとっては半強制的なものであっても、
緊張を和らげる手段として良い影響が出ている。
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「外国に対する興味・関心」「多様性への寛容さ」「コミュニケーションへの自信」
これらの意識が、たとえたったの「5時間」であっても児童たちの中に蓄積されていくことで、
彼らの視野が広がり、チャレンジするための心理的な素地が作られる。
これにより未来の選択肢が広がり、国内でも海外でも英語を当たり前に使って活躍している自分を
自然に思い描くことが出来るようになる。
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オンライン英会話を学校に導入することの価値について、僕は今、確信を持っている。
すべての子どもたちの意識を変えることは難しく、自分の娘も例外でないかもしれないが、
それでも、「自分の娘たちにオンライン英会話を受けさせたいか?」と聞かれれば、
迷いなく「Yes」と答えることができる。
一方、自分の所信を掲げてから早2年、当時と比べて数倍の事業規模で成長を続けてはいるものの、
事業としてはまだまだスタート地点に近い感覚がある。
オンライン英会話を導入している学校は、全国的に見るとまだマイノリティ。
娘が小学校3年生になる2022年、その時までに娘の小学校にオンライン英会話を導入しないと、
「パパの自慢」は成立しない。
娘の成長に、事業の成長は、追いつくのか。
自分の人生にとって最も大切な2つが、今日もシビアなレースを続けている。
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※「国際志向性」http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~yashima/data/kokusai.pdf
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