レアジョブについて

使命はV字回復 外資系企業の経営者がレアジョブにやってきた話

株式会社レアジョブ オンライン英会話事業本部長 須藤 みゆき
一貫して教育関連ビジネスに従事。2007年LEGO Japan入社、2010年~2020年LEGO Education 日本代表を務める。また、LEGO Education International Leadershipメンバーとして日本国内に加えアメリカを除くグローバル市場でのビジネス拡大にも携わる。2020年ブリタニカ・ジャパン代表取締役社長に就任。ビジネススキームの再構築、新規市場開拓を推進し事業成長をけん引。 経済産業省産業構造審議会教育イノベーション委員も務める。2024年10月株式会社レアジョブに入社。主力事業であるオンライン英会話事業を管掌。
レアジョブ広報。グループ社員に対し、気になったことをどんどん聞いちゃう人

誰もが知ってるあのおもちゃの会社

須藤さん、ご経歴が最強ですね。

えっ!?(笑)そんなことないですよ!

(そんなことないわけない…)

LEGO Education、ブリタニカ・ジャパンで日本法人の代表を務められていましたが、もともと外資系企業を志望されていたんですか?

最初に就職したのは、日本企業の理化学機器メーカーでした。未就学児向けの新規事業開発のためにタッグを組んだのがきっかけで、LEGO Japanと出会ったんです。

そんなご縁があったんですね。ご入社されてからは、どんなお仕事を担当されたんですか?

幼児(未就学児)担当のマーケティングです。ざっくりいうと、保育園や幼稚園にレゴブロックを普及するのが目的でしたが、単なるおもちゃとしてのレゴブロックだけでは、なかなか買ってもらえません。そこで、デンマーク本社と協議を重ねながら教育的価値を伝える戦略にシフトしていきました。

教育的価値って、具体的には?

たとえば、複数でグループワークをしながらブロックを組み立てたり、頭の中で想像してから実際に組み立ててみたり…と、遊びながら学ぶアクティビティです。

おもしろそうですね~。

組織マネジメントやチームビルディングの手段として、大人に対しても有効なんですよ。レアジョブでも本部のメンバーを集めてワークショップを開催したんですが、意外と難しいですし、いろいろ試すプロセスで発見があるので好評でした。

日本代表就任”即決”の裏で葛藤した子育てとの両立

LEGO Educationの日本代表って、ものすごい大役だと思うんですけど、就任される時はどんなお気持ちでしたか?

即決です。「やります!」って。

潔すぎる…

当時はとにかく仕事が楽しくて、代表になればもっといろんなことができる、挑戦できる!と思っていたので、迷いはなかったです。ただ…

ただ?

その頃、子どもがまだ3歳くらいだったんです。打診をお受けしてから(あ、受けちゃったけど育児と両立できるのかな?)と頭をよぎりまして。でも「何とかなる!」と思ったし、何とかしよう、と。

強気!実際にはどんなふうにして仕事と家庭と育児のバランスを取るために工夫されたんですか?

メリハリをつけることは常に意識していました。
子どもと接する時間は、短くても濃く深くする。その代わり、一歩外に出たら徹底的に仕事に集中する…といった感じですね。

あとは、事前準備に尽きます。子どもが体調を崩して仕事を離れることになっても対処できるように、ミーティングのアジェンダは事前に送っておく、万が一に備えてドキュメントを作っておく…とか。

先読みの行動を実践されていたんですね。

そのおかげで、物事の優先順位付けや取捨選択の判断力が身につきました!ワンオペで目が回りそうな時期もありましたが、逆に私が海外出張の時は家族にサポートしてもらったりもして、甘えられる時は甘える、細かいことは気にしない、というスタンスになりました。

失敗を学びに変えて、ビジネスを動かしていく

LEGO Japan、LEGO Educationでのお仕事についてもお聞きしたいです。

いろんな経験をさせてもらいました。たくさん失敗した分、たくさんの学びがありました。私、チャレンジするのが大好きなんですが、見切り発車もしちゃいがちで…(汗)

たとえば、日本の大手クライアント様の案件で商談を進めていたことがあって。ただ納期が非常に厳しい。すぐに海外から輸入しないと間に合わない。「これはいける!」と自信があったので、書面契約を交わす前に大型受注のゴーサインを出したんです。ところが、急にその案件がなくなってしまって…

大ピンチじゃないですか!

そうそう、輸出手続きも終わって、大量のレゴブロックが船に乗ってやってきちゃうんですよ。もうキャンセルもできないし(どうしよう…)と困り果てましたが、どうにかするより他に選択肢はないわけです。チーム一丸でとにかく販売先を探して、交渉して、無事に売り切ったものの、本当に危ない橋でしたね。

商材が海を渡ってやってくるって、外資系企業ならではのエピソードです。

そうですよね。外資系企業は、基本的に本社の意向がとても強いです。その良さももちろんありますが、私としては、日本市場にしっかり向き合って仕事をしたいと思っていました。

特にチャレンジングだったのは、STEAM教育の教材と組み合わせた製品開発ですね。教育業界でトレンドに上がっていた頃だったので開発を打診したのですが、当初、本社には断られてしまいました。それでも粘って説得し、最終的に製品化までこぎつけられたのは、私にとって大きな糧となりました。

そんなビハインドの状態をどうやって突破したんですか?

意外と定性的ですが、まずは信頼関係を構築することが大切です。「この人が言うなら大丈夫だろう」と思ってもらえなければ、その先の展開には進んでいけません。それに、信頼関係だけでも不十分で、成功すると思わせるに足るビジネスプランが絶対に必要です。

やりたいことをやるためには信頼を得る必要があり、そのためには成果を出す必要があり、そのためには説得材料としてのデータや試算やストーリーが必要で…と、逆算しながらビジネスを動かしていくことを学ばせてもらいました。

百科事典で有名なブリタニカ・ジャパンで新しいチャレンジへ

ブリタニカ・ジャパンに移られたきっかけは何だったんですか?

LEGO Japanから数えるとトータルで13年働いていたんですけど、会社も仕事も好きでしたし、最高のチームだったと今も思っています。

私が代表に就任した際、売上や文化醸成など自分なりの目標を立てたんですが、ありがたいことにそれらは全部達成できました。それで、次のチャレンジを探そうと思った時に偶然お声がけいただいたのが、ブリタニカ・ジャパンでした。

ブリタニカと言えば、百科事典ですよね。

250年の歴史と伝統を誇る老舗企業です。素敵なブランドストーリーがある反面、クラシックで保守的な社風の変革が課題になっていました。なので、企業文化やマインドセットの転換が、私にとっての次なるチャレンジでした

具体的にはどんなことをされたんですか?

地道ですが、全社ミーティングやイベントなどを開催し、コミュニケーションを密に取ることから始めました。人事制度も抜本的に変えて、ミッションビジョンバリューも日本独自でゼロから作ったんです。作り上げていくプロセスも大切にしたかったので、トップダウンで決めるのではなくメンバーを募り、意見を取り込みながらかたちづくっていきました。

でも、会社全体を巻き込むコミュニケーションって難しそうですね。

その点は、外資系企業ならではの文化が良い方向に働いたと思います。
外資の場合、ミーティングなどの場では、役職を問わずオープンに意見を言い合うことが絶対的に求められます。意思決定の場に参加する以上、意見を述べて貢献しないといけないという共通認識があるので、フラットに意見を集めるのは日本企業よりやりやすいかもしれません。メンバーの国籍も文化背景もバラバラですから、ローコンテクストを前提とした明確なコミュニケーションや、意見を取りまとめるファシリテーションスキルが一層鍛えられました。

2つの会社で経営者を経験されてきて、どんなやりがいがありましたか?

ビジネスに、100%成功が確約されているものなんてないですよね。トライして、検証して、考えることの繰り返しです。経営者は責任が大きい分だけ裁量も大きくて、スピード感のある判断ができるのはやりがいを感じます。

反面、裁量が大きいからこそ自分の感覚だけに頼ると判断を誤りやすい、という自戒は常に意識していました。当然ながら、経営は現場よりもお客様との距離が遠いので、現場に立つスタッフの意見や市場の声をきちんと吸い上げる意識は、今も大切にしています。

レアジョブに来た理由とこれからのチャレンジ

ブリタニカ・ジャパンでは約4年間にわたり代表を務めましたが、当初の課題だった企業文化やマインドの再構築ができ、既存事業の立て直しと新規事業の構築により業績も大きく回復したので、この先のフェーズは他の人に任せようと思いました。

そして、改めて自分自身の今後のキャリアを考えた時に「一生、教育に携わっていきたい」という想いがクリアになりました。長年、外資系企業で働いてきたので英語の重要性は体感していましたし、自分の中で大事にしたいキーワードは「教育」と「グローバル」だと明確に定まったんです。また、これまでは海外から日本市場に向けたビジネスに携わってきたので、次は、日本から海外市場に向けたビジネスに挑戦しようと決意しました。

そこで登場したのが、レアジョブだったんですね!

そうなんです。でも、お声がけいただいた時は正直、かなり迷いました。一区切りが見えたとはいえ、ブリタニカ・ジャパンでもっと挑戦してみたいこともありましたし…。

もし、自分がレアジョブにジョインしたらどんな貢献ができるんだろう? と思案もしましたが、最終的には「飛び込んでみよう」と心を決めました。
今度は日本企業で日本人の活躍をサポートしたい、日本から海外につながるビジネスにチャレンジしてみたいという想いが、覚悟を決める原動力になりましたね。

実際にご入社されてみてどうですか?

皆さん、とても真摯な姿勢で仕事に取り組んでいる、というのが第一印象でした。教育や社会に対して、レアジョブのサービスは良いインパクトを与えられると信じて仕事に励んでいる姿を、折々で目の当たりにします。

一方で、事業面は苦境が続いていて、やりたいことになかなか挑戦できない実情も感じています。「変化を生み出そう」「ストーリーを語ろう」「やりたいことをやろう」というRareJob Wayを、今は実践できないと感じているのではないか、と。

もちろん、会社はビジネスを営む場なので、やりたいことを何でもできるわけじゃありません。とはいえ、チャレンジを成功に導く種は現場の声、社員の想いにこそあると私は信じているので、メンバーが「これをやりたい」と表現し、実らせることができるような土壌を育んでいきたいと思っています。

最後に、これからレアジョブで実現していきたいことを教えてください。

目下は、コンシューマ向けの事業を何とか立て直すこと。ビジネスでの貢献こそが、私の使命です。

2000年代に登場したオンライン英会話って、英語学習の在り方に変革を起こしたイノベーションでしたよね。AIが進歩した今や、レガシーなサービスに見られているかもしれません。でも、これまでとは異なるチャネルで展開したり、学習体験全体を再設計したりすることで、まだまだ成長の可能性が存分にあると考えています。

オンライン英会話じゃないサービスを作ったりするとか?

製品力はサービスのコアなので、ブラッシュアップは絶えず続けていくべきだと考えています。一方で、見失ってはいけないのが「レアジョブって何屋さんだったっけ?」という芯の部分です。私たちがビジネスを通して最終的に実現したいのは、“Chances for everyone, everywhere.”というグループビジョンです。そこに向けた手段や進み方には多彩な選択肢があるわけで、現場の声、お客様の声を積極的に取り込みながら、一丸となってチャレンジし続けていきたいです。

素敵なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!