2017.01.20企画/開発のアピール | ,

良いプロダクトを追い求める意識はどのように薄れ、どのように育まれるか

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コンシューマ事業部 副部長 橋本

新卒でディー・エヌ・エーに入社、ソーシャルゲームのプラットフォーム部門でマネージャーを務めた後、2014年レアジョブに参画。


 
聴き手

インタビューをする為に雇われた、外部の人。

 

いきなり会社のこと持ち上げてる感じになって相当気持ち悪いんですが、外部の人から見て、レアジョブって結構どの部門でもミッション・ビジョンに基づいた本質的な議論をしていることが多いなと思います。

マーケティングにしてもカスタマーサポートしにしても、議論中にふと「そもそもそれって本当に英語を話せるようになるというところに向かってるんだっけ」というような展開になることが多いな、と。そういう文化が根付いているのは、率直に凄いことだなと思います。

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突然持ち上げて頂きましたね、有難う御座います(笑)

ワッショイするの好きじゃないんですが、そこは実感として本当にあります(笑)実際、ミッション・ビジョンってお飾りみたいになっていて、各部門は各部門のやるべき売上げ目標とかに没頭しているというのが、ありがちな形だと思うので。

有難いですが、実際、「本当に良いプロダクトを作ろう、それだけにフォーカスしよう」という考えが会社全体に浸透してきたのは、最近な気がします。

うちの会社にとって「良いプロダクト」というのは「本当に英語が話せるようになるサービス」ということですが、全社的にそこに向かっていくという風土が昔からあったわけではないと思いますね。

ああ、そうなんですか?

僕がDeNAからレアジョブに転職したのは2014年の初めなんですが、当時の雰囲気は、ずいぶん今と違いました。ユーザー数も売上も右肩上がりだったので、はたから見ると上り調子だったと思うんですが、どこかひっかかる部分があったんですよね。違和感というか。

違和感と言うと、どんな感じですか?

あくまで個人的な印象ですが…みんな個別で話すと「こういうサービスにしたい」と理念に近い、熱い想いを持ってるんですが、なかなかそれを周囲に言い出せてなかったり、実現に向かって動けていなかったり。

そうですか

ちょうど、競合環境も日増しに厳しくなっている時期だったんですよね。といっても、参入障壁が低いので、もともと小さな同業者は山のようにあったんですが、うちの上場前後のタイミングから潮目が変わった。

大手がCMとかバンバンうって参戦してきたわけですね

そうです。外部環境としても激化していく時期で、どうしても目に見える成果が欲しいタイミングだったんです。

なるほど

結果的に、現場では各チームにおけるKPIの話が多かったですね。数字的な目標達成への一体感はものすごいものがあったんですが、そもそもユーザーは何を求めているのか、とか、どうすれば英語が話せるようになるのか?みたいな話が余り聞こえてなくて。個人的には、ちょっともやもやしてました。

 

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組織はどういう体制だったんですか?

当時のレアジョブは、おもに「無料会員を獲得する」「無料会員を有料会員にする」「有料会員を継続させる」という風に3つの組織に分かれていました。前者2つにほとんどのリソースが寄せられていたんですが、最初に僕がアサインされたのは真ん中の、「無料会員を有料会員にする」というチームだったんです。

で、それぞれのチームに数値目標が割り振られていました。無料会員をどのくらい獲得する、無料会員の内何%を有料会員にする、有料会員をどれだけ継続させる、というように。

それぞれKPIを管理していた、と。

はい、それ自体は全然いいんですが、それぞれに集中すればするほど、個別最適化が進む一方で、本質から遠ざかる感覚があったんです。他にも、うちの場合は「講師」や「教材」などが有力なプロダクトなんですが、当時フィリピン子会社でそこを管轄していた関係で、 日本側の事業部ではあまり手を入れにくい組織構造や役割分担になっていたり。

はあ

みんな薄々まずいと思ってるんですが、なかなかそれを言いだせないんです。なぜかと言うと、そういう意見って、それが長期的にもたらす効果を数値化することが難しいという側面もあります。「良いプロダクトを追求することに力を入れた方が良い」とは言っても、それがどう売上げに繋がるのかを客観的な数値を用いて説明するのが容易ではない…

そうなると結局、「無料会員を有料会員にするチーム」がやることと言ったら、キャンペーンを打つとかメールを送るとかそういう分かりやすい施策になりやすいんですよね。「CTRが0.5ptあがりました」みたいな。それ自体に意味が無いとは思いませんが、それだけに没頭すれば良いのか自信が持てず、どこか、もやもやするという。

なるほど

で、そういう体制だと、やはり長続きはしないんです。次第に、ユーザー数や売上の増加ペースが落ちていく。状況が悪化している理由とか解決策が知りたくて、「過去、無料会員がどういう施策によって何%有料会員に繋がった」みたいなデータを見ながら分析を繰り返すんですが、まあ本当のことは、よく分からないんです。

多くの会社で起こりそうなことですね

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そうですね。それで、その時に僕自身が前職で似たような経験をしていたこともあって、この体制でそれぞれが目標を達成することに躍起になっていても根本的な問題が解決しないんじゃないかと思ったんです。

部門を細分化して数値目標を追いかけることに傾倒し過ぎて、ユーザーにとってのピュアな体験というか、「そもそもユーザーにとって良いサービスなのかどうか」ということへの意識が会社の中で薄れつつあるんじゃないかと。

なるほど

ユーザー目線でみると、レアジョブを選ばない理由って、単に「うちより魅力的なサービスが他にあるから。」というそれだけなんじゃないかなと思ったんですよね。よくよく考えると当たり前のことなんですけど。

「このバグさっさと直してくれ!」とか「もっと成果の出るサービスにしてくれ!」とか、そういうのがユーザーの本音かなと。その声にもっと真摯に向き合っていって、“本当に英語が話せるようになるサービス” となることを改めて突き詰めるべきだと思いました。

なるほど。

そういう意識改革の流れを作っていった中で、これは重要だったと思うことは何ですか?

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いや、意識改革とか大それた事だとは思ってはいませんが…(笑)ただ、そもそも自分の場合、当時外部から来たばかりの新参者だったということは良かったかなと。従来のやり方と多少ずれたことがあっても許容されやすい立ち位置にいたという点で、動きやすかった面はあるかなと思います。とにかく…受け入れてもらえてよかったです(笑)

ただ、ふりかえってみると、会社の規模がある程度大きくなってきたタイミングで、プロダクト自体の質をみれるひとを採用する、そういう役割を社内に設ける、組織を作るみたいな判断と実行の迅速さは重要かもしれないなと思います。

そこを意図的にやった方が良い、と

スタートアップのときは経営陣が担っていた「プロダクトの一貫性を保つ」「機能を拡張する際の判断をする」という部分を経営陣がこれまで通りみることが出来なくなる時、それを事前に見据えて、そこを担える人を採用すること。プロダクトをマネジメントするチームをつくって代わりにそこに任せること。

そこに権限もしっかりもたせて、自主的にビジョンを描いてそれを実現するための「ものづくり」がある程度自分達の判断でやれるようにしていくこと。この辺りが重要かなのかな、と思いますね。

なるほど。

あとは、会社としての意識がマズい方向に向かっているなと課題を感じた時に、社内で仲間を探すことですかね。表向きには言い出せないけど、実は似たような課題感を持ってる人っているんですよね。特にエンジニアとかデザイナーに。そういう人を見つけてご飯に誘ったりする。

で、そのときに盛り上がったアイディアについて、実際に何かをつくってみる。あわよくばそれを世の中に出してみる。それがなにかのKPIにも貢献したり、ユーザからもいい反応がもらえたりすると、物を作る人にとっても楽しいし、ビジネス的にも受けれられる。そういうのを地道にやっていくと、次第にプロダクトに意識が向いていって、雰囲気が変わっていった感じですかね。

似たような危機感を感じている社員を発見して、巻き込んでいくということですね。

はい。あと細かいところだと、ユーザーが何に価値を感じているのかというのを社内でワークショップっぽく議論してみたり、社内でユーザインタビューを頻繁に開催して、エンジニアやデザイナーと言ったそれまでユーザーに触れる機会の少なかった人達をユーザーと引き合わせる取り組みをしたり。これは僕も相当やりました。

で、プロダクト企画部門と言って、データサイエンティスト、デザイナー、エンジニア、営業、マーケティング、カスタマーサポート等あらゆる部門を超えてプロダクトの質を追求する部門も出来て、今に至りますね。

なるほど、よく分かりました。

でも、少し戻るんですが、会社としてはチームを細分化して分かりやすい数字目標を置いて管理するメリットもありますよね?

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そうですね、勿論それはありますね。KPIで管理するからダメとか言う短絡的な話ではないと思います。いろいろありましたが、こうしてふりかえると、会社やサービスのフェーズで、とるべき戦略が違うということかなと感じています。いろいろ悩みながら自分たちで工夫しつつ変えてこれたことは、すごいよかったなと。

はい

今のレアジョブは、そういう紆余曲折を経て、プロダクトにフォーカスして「良い商品を追求しよう」という流れがようやく出来てきたところなので、本当の勝負はこれからだと思っています。他のオンライン英会話と圧倒的に違うよね、とユーザーに思ってもらえるように、これからも全社で一丸となって取り組んでいきたいですね。

 

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