2017.10.20会社のアピール | 

経営者は何故スキルでなくマインドで抜擢するか。超ドメスティックのエンジニア出身者を、海外グループ会社の社長へ。

Pocket

English article follows after Japanese.

代表取締役社長 中村 岳
1980年生まれ。東京都出身。東京大学、同大学院卒業後、株式会社NTTドコモ入社。2008年、株式会社レアジョブ代表取締役最高技術責任者就任。2012年、最高執行責任者就任。2015年、代表取締役社長就任。

 


 

1:とある抜擢

 
2017年頭、創業者である加藤の退任にあたり、RareJob Philippines社長を探すこととなった。

現状、RareJob Philippinesには各部門にそれぞれHeadがいるので業務としてはまわっているが、その上に立ち精神的主柱としてRareJob Philippinesをリードしていくこのポジションは言わずもがな非常に重要だ。創業者の後釜というプレッシャーもある。

色々と検討した結果、僕は最終的にとある、超ドメスティックかつエンジニア出身で経営者としての経験のない人物を抜擢した。理由は勿論、彼のマインドに惹かれてのことだ。

僕に限ったことではなく、ごく一般的な話として、経営者は時にスキルでなくマインドを信じた大胆な抜擢をすることがあると思う。今回も、若い社員の中には、「何で英語もネイティブレベルと言えない、エンジニア出身の人が抜擢されたんだろう?」と感じた人がいるかもしれない。

簡単に自分の考えをメモ書きしたい。

2:社長の資質

 
現地点でRareJob Philippinesの社長という重要なポジションに求められる資質を列挙すると、以下のような形になる。これは、僕が今回の人選を考える際に実際に使った表だ。

現状の重要度
困難にあっても、やり抜く精神的強さ(ポジティブ)がある

現地メンバーとコミュニケーション取れる英語力

現地メンバー全般とコミュニケーションを積極的に取れる

日本との情報連携ができる

グループ戦略とフィリピンの戦略で方向性を一致させられる

フィリピンの戦略を作ることができる

フィリピンでの全社課題を抽出できる

フィリピンでの全社課題を解決出来る

フィリピン部署間での課題を解決出来る

フィリピンに住むことができる

日本の幹部陣と一体感を持つことができる

現地社長として、他社情報の収集や発信ができる

この表の中には、“精神的強さ”というマインドに関するものや、“英語力”というスキルに関するものとが混在している。

重要なのはここからで、僕はこの一覧を作りRareJob Philippinesの未来を想像しながら、このそれぞれの要件の『重要度』を熱心に吟味した。

オペレーションという意味では、現地幹部陣がいるのでまわっている。この1年で伸ばしてもらうスキルは重要度を下げ、現状必要な資質を重要な順に、A,B,C,Dを割り振る。結果は以下。

現状の重要度
A:困難にあっても、やり抜く精神的強さ(ポジティブ)がある
C:現地メンバーとコミュニケーション取れる英語力
B:現地メンバー全般とコミュニケーションを積極的に取れる
B:日本との情報連携ができる
B:グループ戦略とフィリピンの戦略で方向性を一致させられる
D:フィリピンの戦略を作ることができる
D:フィリピンでの全社課題を抽出できる
D:フィリピンでの全社課題を解決出来る
C:フィリピン部署間での課題を解決出来る
B:フィリピンに住むことができる
B:日本の幹部陣と一体感を持つことができる
D:現地社長として、他社情報の収集や発信ができる

勿論、それが全てというわけでもないのだけど、僕自身は、「英語力」、「フィリピンの会社のことがわかっている」等のスキルに比べて、その他の「ポジティブさ」「粘り強さ」といったマインドに関わるところを非常に高く評価していることになる。

3:なぜマインドなのか

 
人事を考えるに当たっては、その仕事がどのような類いの仕事なのかということがとても重要になる。そして、仮に、スキルが大切かマインドが大切か、というシンプルな構造に落とし込んだとすると、その仕事の「不確実性」が大きくこの判断に影響を与える。

やることが明確であり、その仕事を取り巻く状況が特定の期間大きく変わらないような場合に大切になるのは明らかにスキルだ。極端な例を出すと、「ゲームセンターで1時間以内になるべく多くのUFOキャッチャーの景品を取る」というミッションがあったとして、その際に最適な人間は「UFOキャッチャーが上手い人」以外の何者でもない。マインドは一切関係ない。

一方、状況が不確実であればあるほど、マインドが大切になってくる。仮に、「今後10年間に渡ってゲームセンターの中で我が子を楽しませ続ける」というフワっとした違うミッションがあるとすると、これは先ほどよりも不確実性の高いものとなる。10年間でゲームセンターの遊具がどう変化するのか、子供がどう成長するのか、楽しませるとは何なのか、分からないことだらけだ。

このミッションに関しても「UFOキャッチャーが上手い」というのは引き続き一つのポジティブな要素ではあるけども、最適な人間はというと「そもそも、子供が好き」というマインドを持っている人間だろう。子供が好きなら遊具も子供もよく観察して、勝手に、柔軟にゲームセンターを活用していく。

RareJob Philippinesの社長を務めるというのは、実は思った以上に不確実性の高い仕事で、特定の何かしらのスキルだけでこなせる類いのものではない。急に計画停電になったり、大型台風がきて大洪水になったり、大統領の発言で国が動いたり、、、と言った、地政学的なリスクが満載。法律も急に解釈が変わるし、ルールも不明瞭。

ここまで状況の読めない、不確実性の高い仕事だと、多少英語が流暢であったり何がしの法律の知識があるということは、本質的にはさして重要ではなく、持ち合わせたスキルで対応出来ない事態に出くわした時の考え方の方が大切になる。

RareJobを良くしたいと心の底から思っていて、常にポジティブな気持ちを持っていて、粘り強く取り組み、自然と人の信頼を集めていく。そんな人でないと、長期的には上手くいかない。

そう考え、この重要な役職を考えるに当たって、僕はマインドに徹底的にフォーカスしたのだ。

4:スキルと、マインド

 
ここまでマインド、マインドと語って来たが、実はマインドの善し悪しを見抜くのは簡単ではない。「私は逃げ出しません」「私は向上心があります」といった風に、自分で自分の人間性を説明するのはとても簡単なことだからだ。

とても逆説的な言い方になるのだけど、僕は人のマインドを計るに当たって、逆に「スキル」を見ることがよくある。その人が、どのような考えで、どのような能力を高めてきたのか、どのような結果を出したか、という変遷を追いかける。

優れたマインドを持っている人は、そのマインドを体言する為に、自然と何かしらのスキルをドンドン身につけ、小さなミッションを達成していくものだと思う。

例えば今回抜擢した方は、今から6年くらい前、インフラを担当するエンジニアとしてレアジョブに中途入社した。そこからインフラリーダーとなり、インフラ全般を見て結果を出してきた。

その中でプロジェクトマネジメントが非常にうまかったため、ブラジル事業の立ち上げに加わったり、Z会Asteriaの立ち上げに携わったりした。インフラエンジニア、というスキルに加え、プロジェクトマネジメントスキルを備え、それを見事に発揮しスキルを伸ばしていった。

さらに、ブラジル案件に携わったことで、海外という軸も加えて成長していった。インフラに関しては、日本だけでなく、フィリピンも見るようになり、日比で部下を持ち、マネジメントすることとなった。

入社当初の彼の英語力では、外国人をマネジメントする、というのは難しかっただろうと思う。だが、彼は入社後にレアジョブ英会話を勝手に続け、英語力を伸ばしていった。その結果、どうにか実践で利用できるレベルになり、現に仕事でも外国人部下マネジメントにて結果を出していった。

社内サーベイでも、彼の担当するチームのモチベーションは高く、ビジョンの伝達力、部下を引っ張る力が証明されていった。

彼は、彼自身の持つ優れた「マインド」に導かれて自分に足りないスキルを勝手に磨き、それによって色々なミッションをクリアしてきた。まさに、マインドの人であり、成長の人だ。

5:年齢と、マインド

 
ちなみに今回抜擢させて貰った彼は40代。僕より年上だ。成長の人と言っても、良い歳のオジさんである。

ただ、僕は自分自身の尊敬する経営者等も見ていて、学ぶ人なのか学ばない人なのかは、年齢によって決まるものではないと思っている。

それは何度も言うように純粋にマインドの問題で、20代にしてほとんど学ぶことをやめてしまった人も、40代にして貪欲に学んでいく人もいる。むしろ年齢を言い訳にする人は、何かを諦めてしまった人だろう。

彼は今でも日々自分の成長を考え、謙虚に貪欲に仕事をしている。分からないことは分からないと認め、必要なことは勉強する。僕はその姿勢を非常に尊敬しているし、彼を見ていると、凄くワクワクするのだ。

……と、こんなことを考えながら、ドメスティックなエンジニア出身者にRareJob Philippinesの社長をお願いした。本人は、天地がひっくり返ったように驚いていた。これからどんなドラマが起こるか、僕自身とても楽しみ。

過去どのようなスキルを伸ばしてきたのかからマインドを推し量り、そのマインドを信じて不確実な場所に一緒に飛び込んでもらう。経営者は常に、「未知」と戦ってくれる仲間を探している。

 


 


Why are management making choices based on intellect rather than skill?
From domestic engineer to the president of an overseas company

The Selection

In the beginning of 2017, we decided to look for a new President of RareJob Philippines upon the retirement of the founder, Mr. T. Kato.

Currently, RareJob Philippines has division heads, so it is working as a business, additionally the person who will lead RareJob Philippines is vitally important. Also, there is the added pressure of being the founders’ successor.

After serious consideration, I promoted a man who had domestic engineering background and a few experience as a manager. The reason, of course, is that I was attracted by his intellect.

This thinking is not limited to me only, and generally speaking I think that management sometimes makes bold choices not based on skill but on the belief of the person’s intellect. At the same time, some employees may have questioned “Why would an -engineer who has not fluent English speaking skills be selected?”

I’d like to explain my thought process in arriving at this decision.

2. Quality of a President

Listing the qualities required for the important position of the president of RareJob Philippines at this point, took on the following form. This is the actual table I used to come to a decision.

Important Evaluation Points
Able to positively overcome situations even when difficult
Have English ability to communicate with local members
Able to communicate actively with all the local members
Able to keep the information channels open with Japan
Able to match the direction of the group strategy and the Philippine strategy
Able to create a Philippine strategy
Able to extract company-wide issues in the Philippines
Able to solve company-wide issues in the Philippines
Able to solve problems between Philippine departments
Able to live in the Philippines
Able to have a sense of unity with the executives of Japan
Able to collect and impart information on other companies as the local president

In this table, things related to “mental capacity” and those related to skills “English ability” are mixed. What is important from here is that I made this list and took into consideration the “importance” of each requirement as well as the future of RareJob Philippines.

In relation to operations, this is being done by local executives. Skills to be extended within a year will lower its importance and by allocating a ranking of A, B, C D of the most important qualities in the current situation is needed. The results are below:

Important Evaluation Points
A:Able to positively overcome situations even when difficult
C:Have English ability to communicate with local members
B:Able to communicate actively with all the local members
B:Able to keep the information channels open with Japan
B:Able to match the direction of the group strategy and the Philippine strategy
D:Able to create a Philippine strategy
D:Able to extract company-wide issues in the Philippines
D:Able to solve company-wide issues in the Philippines
D:Able to solve problems between Philippine departments
C:Able to live in the Philippines
B:Able to have a sense of unity with the executives of Japan
B:Able to collect and impart information on other companies as the local president

Of course the points are limited, but I set a higher evaluation on “positivity” “persistence” compared with skills such as “English ability”, “knowledge of the Philippine company “, means that my focus is more related to the intellect.

3. Why intellect?

Personally I have to question, “What kind of work becomes very important?” And if you were to put it in a simple table “where skill is important or intellect is important”, the “uncertainty” of the work greatly influences these judgments.

It is clear when skill is important and it becomes more important if circumstances surrounding a job does not change significantly for a specific period of time. Let’s take an extreme example, assuming that there was a mission to “get as many UFO catcher’s prize as possible within one hour at a game center”, the best person for the task would be none other than the ” experienced UFO catcher “. The “intellect” does not matter here at all.

On the other hand, the more uncertain the situation is, the more important the intellect becomes. So if we make the mission vaguer like “keep my child entertained at a game center over the next 10 years,” this becomes more uncertain than the previous example. There are lots of things that you need to take into account such as: how the game equipment changes over ten years, how children change, and what the definition is of “entertain” etc.

Regarding this mission, “being an experienced UFO catcher” continues to be a valued characteristic, but the most suitable person is the person who has the mindset that “loves children in the first place”. If you love children, you will consider the equipment and children, and use the game center more flexibly without constraint.

To serve as the President of RareJob Philippines is actually a challenging job given the ever-dynamic and changing social, political, economic and environmental landscape with blackouts, strong typhoons, flooding, earthquakes, and other urban life issues.. Making decisions may not be as simple as basing it on clear-cut rules or standards.

Making decision demands not only the ability to communicate the decisions in English well or certain skills but requires flexibility, open-mindedness and critical thinking to adapt to the complex issues.

I am hoping from the bottom of my heart that the successor wants to improve RareJob, always has a positive outlook, works tenaciously, and gains trust from people naturally. If the successor is not such a person, it will not bode well in the long run.

So, in thinking about this important position, I focused on the intellect entirely

4. Skills and Intellect

I have talked about the intellect repeatedly so far, but in fact it is not easy to see the value of the “intellect”. “I will not run away” “I am ambitious”, are ways to very easily explain our personality on our own.

It may be very paradoxical to say, but in measuring my intellect, I often see “skills” as the contrary. We will follow the transition of what kind of thought, what kind of ability that person has attained, and what kind of result it produced.

People who possess an excellent intellect are supposed be those who achieve a small mission by revealing their true nature or some skill and in the process show their intellect.

For example, the person who has been selected, joined RareJob as an engineer in charge of infrastructure about six years ago. From there he became an infrastructure leader, where he looked at the entire infrastructure and got results.

Due to his competent project management skills, he joined the launch of the Brazilian business and engaged in the launch of the Z-kai Asteria. In addition to the skill as an infrastructure engineer, his project management skills were demonstrated spectacularly and skillfully expanded.

Furthermore, by engaging in the Brazilian project, he grew along with the overseas axis. Regarding the infrastructure, not only in Japan but also in the Philippines, he ended up to having a team to manage in both countries.

I think that it was difficult to manage foreigners with his English proficiency level as he joined the company. However, he took RareJob English lesson on his own after joining the company, and began to improve his English ability. As a result, he managed to some extent improve his proficiency even at work, where he got results with foreign team management.

Even in an in-house survey, his team member’s motivation was high, proving his power to convey the vision, and the ability to manage his team.

He has improved his “intellect” by doing whatever is necessary to deal with certain lack of skills on his own, thereby achieving various missions. Indeed, he is a man of intellect and growth.

5. Age and mindset

Incidentally the candidate chosen is in his forties and slightly older than me. Despite this, it has not stopped this candidate from continuously pursuing personal growth.

However, looking at my own management style etc., the mindset is not determined by age whether the person is engaged in personal growth or not.

It is purely a matter of mindset as I have said many times, some people have stopped learning mostly in their 20’s, others are learning greedily into their 40’s. A person who makes up an excuse for age signifies a person who gave up something along the way.

Even now he still thinks of his personal growth day after day and humbly works diligently. He acknowledges that he is yet to understand many aspects of his tasks, however he takes it upon himself to fill in those gaps personally. I really respect that kind of attitude very much and I am always excited to see him.

Considering this decision of selecting a domestic engineer to become the president of RareJob Philippines, surprised and caught him totally off guard. I am really looking forward to seeing what kind of new developments will come from now.

Predict the mindset or intellect from what kind of skills the candidate has developed in the past, believe in that mindset and plunge yourself into an uncertain situations together. Management is constantly looking for people who don’t fear the “unknown”.

 


 

Pocket