働くひと

オンライン英会話企業を創りオンライン英会話企業へ入社しオンライン英会話企業へ転職した男に聞く、オンライン英会話の話

 

レアジョブ 品質管理部 部長|村瀬
新卒でデンマークの船会社に営業として入社し海外駐在を経験後、独立しオンライン英会話の会社を起業。その後、デジタル広告代理店やアドテクの会社で海外向け含むマーケティングや営業、自動最適化配信など業界の最新技術に触れる。外資系オンライン英会話の日本法人にてマーケティングマネージャー従事。2019年レアジョブへ入社。
聞き手:話を聞くために来た外部の人。
 

もともと英語関連業界で競合他社で働かれていたんですよね?

というか、実は、もともとオンライン英会話のビジネスを自分で立ち上げて運営していたんです。立ち上げたのは2007年頃なので、まさにレアジョブと同じタイミングだと思います。フィリピン人の方に講師をお願いして、Skypeを使って英会話を提供するというモデルだったので全く同じですよね(笑)

当時のオンライン英会話サービス業界って、どんな感じだったんですか?

まず、事業者数が右肩上がりで増えていました。従来の英会話教室よりも価格がかなり安く、サービスの提供内容も申し分ない…となれば、確実に需要を見込めましたからね。僕はわりと早い段階で始めた方だと思いますが、とにかく事業者が乱立していた時代でした。

そもそもどういう経緯で事業を立ち上げられたんですか?

もともと新卒でデンマークの船会社に就職し、途中から本社勤務になってデンマーク駐在になりました。そのころ、当時はまだ彼女だった妻が学校の先生をしていて、日本と海外で離れることになったんです。

そこでふと、「妻は日本にいないと学校の先生ができないけど、自分はどこでもリーマンできるな」と思い、じゃあ会社辞めて日本に戻るか、と。さらに、学校の先生って忙しいんで、自分は家でできるようなビジネスを立ち上げようと考えたんです。そこで、自分の経験なども踏まえてオンライン英会話サービスに辿り着いたという流れです。

夫の鑑じゃないですか…。妻への思いだけで起業した人間を、初めて見ました。

妻がこの記事を読んでくれることを切に願うばかりです。


 

ちなみに、村瀬さんが事業を運営していた当時、ぶっちゃけ、レアジョブの印象ってどういう感じだったんでしょうか?(笑)

いやもう、純粋に競合ですよ(笑)正直、いま自分がこうやってレアジョブで働いているというのは不思議な気持ちです。レアジョブに対して特に強い印象があったわけではないんですが、「しっかりやっているとこだな」ぐらいのイメージはあったと思います。手強いな、と(笑) 

結局あれだけ乱立してたオンライン英会話の企業で、今も生き残ってるのはごく一部ですからね。

村瀬さんは、どういう形で事業運営から退かれたんですか?

競合が増えてはいたものの、うちは試験対策に特化するなどの差別化をはかって生き残っていました。そんななか、3~4月という1年中で市場が一番盛り上がるタイミングに広告費を大胆にぶっこんだんですが、それがちょうど2011年の東日本大震災と重なってしまって失敗して…。そこで廃業してしまいましたね。

その後に、レアジョブに来たんですか?

いえ、その後に実は外資系オンライン英会話サービスを提供する企業に入って、日本法人のマーケティングマネージャーをしていました。

競合畑を練り歩いてるじゃないですか!


 

結局、オンライン英会話というビジネス自体は、楽しかったんです(笑)需要も市場成長性も確実にありますし、人が成長している姿を見られるのは純粋に気持ちが良いですよね。市場が伸びていて、かつ人のためになっていることを実感できるビジネスって、一回やったら病み付きになりますよ。

そちらの会社は、入ってみてどうでしたか?

現時点でのレアジョブの競合なので、どこまでぶっちゃけて言って良いものかわからないんですが(笑)、まず良い点としては、やはり判断のスピードは速いです。まさしく外資企業という感じがしましたね。

とにかくトップダウンなんです。一人の人間に権限が集中していて、そこから全体に指示が出ます。環境に合わせてトップが考える施策がバンバン出てくるんで、月末と翌月初で指令がまるきり変わっているなど当たり前。週末に突然システムがアップデートされ、週明けにはがらりとインターフェースが変わっている…ということが絶えず起きます。

なるほど。

当然、社員は戸惑うわけですが、そこはトップが強烈な意思決定力で引っ張っていきます。合意形成よりも、フォーカスする先を結果に集中させているという感じですね。


 

最初から長期的な視野で物事を見てビジネスの種をまいたり育てたりするよりも、目の前の短期の目標を達成し続ければ、結果として長期的にも勝つことになる…という考え方なんです。だからこそ物事の進め方や意思決定スピードは圧倒的に速くて、試行を数多く繰り返し、他社の先行事例から良い部分をどんどん吸収・実施していきます。

日本の企業だと、そこまで徹底されたトップダウンな意思決定を実行している企業は少ないですよね。ただ、環境の変化しやすい業界においては合理的な組織のようにも思えます。

はい、そうだと思います。社員の考え方もやはり日系の企業とは違っていましたね。たとえば、引継ぎやマニュアルを整備するといったカルチャーはほとんどなかったような…。「状況はすぐに変わるから、やりながら覚えればいい」という感覚が社員のベースにあって、事実、環境の変化に対して素早く対応するよう教育されます。それはそれで、柔軟で強い組織と言えると思います。

そこと比較して、レアジョブはどうなんでしょう?なるべく忖度なくぶっちゃけていただけると(笑)


 

一番良い点は…これは私がレアジョブに移ることを決めた理由でもあるんですが、やはり「教育系の企業」として見た時の完成度なんですよね。これは正直、レアジョブが頭一つ抜けているな、と思います。

たとえばCEFRに準拠したカリキュラムや、東京外国語大学の投野教授とコラボレーションしたプログラムを持っているところとか。以前は“講師と受講者のマッチングサイト”という印象が強かったですが、いつの間にかレアジョブは教育系企業へと変身していましたよね。

この舵の切り方は、すごく本質的だと思っています。もともと「英語を話せるようになる」という目的があって、それに対して技術を用いているわけです。そして、目的をより高いレベルで達成するためには、やはり第二言語習得理論などの教育的なバックボーンが絶対に必要になる。それが、先に挙げたような例ですね。

つまり、単なるマッチングによる機会提供の次に何を提供すべきか、という点において、レアジョブは教育系企業としてのスタンスをしっかりと示しているんです。ここに大きく投資するかしないかの判断によって、それこそビジネスとしては長期的に大きな違いが出てくると私は思っています。特に、英会話のビジネスに関しては。

そういった姿勢は、実際のサービスにも現れてくるものなんですか?

現れますね。たとえば生徒さんの英語力の評価方法などは、会社によって全然違います。

端的に言うと“どこにフォーカスするか”という考え方ですね。極端にたとえると「ビジネスとしてしっかり展開しよう」というマインドが非常に強い会社では、継続的なサービス利用が最重要項目になるでしょう。それを経営目標として焦点を定めると、極端な話、ユーザーが気持ちよく継続利用したくなるように、英会話レベルの点数操作をしてしまうことも起こり得るわけです。

仮に、レベルをはかるためのミニレッスンをしたうえで、10点中4点くらいだったとします。「でも、この人はちょっとプライドが高そうだから6点にしておこう」といった判断を下す可能性がある。英語力を上達させたいというユーザーの目的に対して、これはちょっとマズいですよね。だけど企業サイドから見れば「それでサービスを継続利用してもらえるなら良し」と考えるのです。

さすが、詳しいですね。

これだけ長くオンライン英会話業界にいると、良い側面だけでなくいろいろな話を耳にしてきました。実際に、他社動向を理解するためにさまざまなサービスを受講していましたから。

生徒を喜ばせるようなレッスンはするものの生徒さんの英語力自体は実際には伸びていないというようなパターンは頻発します。

自分の生徒の評価が上がると先生の評価も上がるので、恣意的に先生が高い点数を付けてしまった結果、“一番上のレベルにいるけども文法はめちゃくちゃ”というような生徒さんが生まれてしまいます。教育企業としての姿勢というのは、こういう形でサービスに反映されていってしまうと思います。

誰の立場で見るかによって、企業が大切にすべきポイントは変化して当然です。企業の事業戦略としてどういったスタンスを取るかは企業の自由ですから。ただ、教育事業は利用者の知識や技能を伸ばしてこそ意味があると思いますし、サービスにはその企業の姿勢が大いに反映されるもの。そして、私個人としては、そういった教育の本質を真摯に実現しようとする姿勢を持った企業が好きだから、今レアジョブで働いているわけです。

企業としてどこにフォーカスするかの違いだけ、ということですね。

そうですね。企業としての生き残りまで考えるとビジネスを拡大していかないといけないわけで、実際のところどんな戦略が正しいのかを判断するのは難しいところです。それでも、教育に真摯に向き合っている企業姿勢は、お世辞抜きにレアジョブの良いところだなとは思います。

現在、村瀬さん自身はレアジョブでどのようなことをされているんですか?


 

今まではマーケティングやセールス寄りの仕事をメインにしてきました。ただ、今後のキャリアの幅を広げる意味でも、今話したような「サービスの質を高める」サイドの仕事がしたいと思っていて、実際、それに関する業務を担当させてもらっています。

具体的には、海外グループ会社の運営に携わっています。2019年4月に、当社はシンガポールの語学学校であるGEOSを買収しました。オンライン英会話のレアジョブが、なぜオフラインの語学学校であるGEOSを買ったの?とよく聞かれますね。でもその目的ははっきりしていて、当社はGEOSをグローバルなプログラムのR&D拠点にしたいと考えているんです。

今後は日本市場以外への展開を考えており、日本人以外の顧客を想定したプログラム開発が必要になってきます。そうなると、多民族国家であり複数言語、そのなかでも英語をメイン言語として使用するシンガポールは理想的な環境。そこで作られたプログラムを“グローバルプログラム”として展開したいと考えています。


 

今までレアジョブがメインでやってきたのはいわゆる「英語を学ぶ」領域でした。今後やっていくのは、「英語を使う」ところです。たとえばグローバルな舞台でのコミュニケーションやファシリテーションなどを、英語を使って学んでいきます。

まさにおっしゃっていた「教育企業」としての投資ですね。

そうですね。レアジョブは今まさに、オンライン英会話サービスを提供する会社から脱却していくタイミングにあります。かつて自分が一競合だと思っていた会社がこんな教育企業となり、自分がそこにいるというのは、改めて考えると感慨深いものがあります(笑)

でも、当時の自分も今のレアジョブのスタッフにも共通しているのは、社会にポジティブなインパクトを与えたいというシンプルな気持ちなんだと思います。どこの会社にいても、そういう仕事ができるというのは良いものだな、と思いますね。