新しい教育

【データと教育】Edvation Summit 2018から学ぶ、教育におけるデータ活用

 
11月3日、4日に麹町中学校・紀尾井カンファレンスで開催されたEdvation Summit 2018に参加してきました。今回はデータがどのように教育や学習で活用されているのかについて、レポートします。

アメリカのEdTechトレンド

EdSurge社によるアメリカのEdTechイノベーションとエコシステムのセッションでは、
「アメリカの学校で子供たちが使うITは、Facebook for schoolやInstagram for classroom、Netfrix for booksなど、大人が使う ITサービスと変わらない。教育サービスにおいてもテクノロジーカンパニーが、技術のトレンドに影響を与えている」という。

そしてEdTechのトレンドは
・Personalized learing(個別最適学習)
・Predictive analytics(予測分析)
・Real-Time Communication(即時性のあるコミュニケーション)
・Evolution of school(学校の進化)

の4つであると発表された。

「教育においてもデータを活用することで、先生は、生徒のニーズや興味を把握することになる。生徒ごとに道筋は違うので、コンテンツの順序を調節し、ダッシュボードを作り、生徒のニーズが何かを早く分析し、対応することで、ドロップアウトのリスクを減らしていくことが必要、もっとも重要なのは、先生がリードするのではなく、生徒が主体性を持って学ぶこと。」

「また、教育がオンラインに移行すると、親にとっては、ブラックボックス化してしまうので、We Chatの教育向けサービスのようなものが今後でてくるだろう」とのこと。

アメリカでは学位の価値に対して否定的な意見があり、勉強すれば職を得られるような流れが出ており、もっと期間を短く、安く、職業のスキルに特化したBootcampが普及し始めているそうだ

セッションの最後には「EdTechは、本当に役に立つのだろうかという問いは、”買ってくれる人がいるのか”、”企業として持続可能か”、”教育現場における教育の効果”という3つを実現しないといけないため非常に難しい質問だ」と締めくくられた。

データ活用以前の課題について

外資ITからみた日本の教育のクラウドのセッションの中では、「なぜ、パブリッククラウドは、日本の教育に拡がらないのか」という問いに対する意見が紹介された。興味深かったのは、「授業で使えるソフトウェアやツールが全くない」という日本の教員が他国と比較して25%〜37%と圧倒的に多いことだ。
 


 
また日本における授業での各ソフトウェアやツールへのアクセス状況の資料では、「ソフトウェアやツールは使用できない」という回答が小・中・高では44%、大学においても36%あり大きな課題を感じた。

「EdTechがもっと普及するには、3つの課題がある。それは、
・通信環境
・教育のアップデートが必要性=教育から学びにし、子供たちが主体的になって学ぶ場所にする
・クラウドを安全に使える基準作り

だと語る。

「学校の先生は、土日も働いている。先生が、質のいい教育を提供するためには、教務を軽減するために、クラウド利用が必要。また、学校以外にも、家や塾など、生徒は学ぶ場所がある。クラウドベースで自分のログを残すことで、シームレスな学びの環境を作ることができる。日本の学習は分断している。データが引き継がれるようになったら、学習者中心の学びの環境を作ることができる」と、先生と生徒のそれぞれの視点で、未来の展望が語られた。

教育や学習におけるデータを活用した事例

シンガポールの事例

シンガポールの事例から見るEdTechを活用した人材育成国家戦略のセッションにおいて、シンガポールでは、政府と企業が協力して、プロフェッショナルデベロップメントを行なわれているという。その一環として、Udemyなどのオンラインラーニングが普及しているという。

Udemy CEOによると「Udemyでは、36,000人以上のTutorと90,000以上の学習コースがあり、190の国に、2,400万人の学習者がいる。学習者のキャリアに見合ったものを、Udemyのプラットフォームを活用して、より豊かな学習環境を提供している。」

データは学習の効果を可視化するだけではないという。

「私たちは、学生のプロフィールでマッチングしている。ナレッジグラフを用いて、マッチング技術をあげて、深いレベルのエンゲージメントを満たしている。」
 

 
「従来の教授のように、何か専門性を極めた人から学ぶというだけではスピードでは遅すぎる。どうやって自主学習ができるのかは、もっと促進されるべきだ。変化に対応することはとても難しいこと。高齢化が加速している中で、学校できることはなんなのか。学生のみならず、成人した人も、学び続けることが必要であり、高度なエコシステムが必要。生涯学習の文化に変える必要がある。学習する機会をどんどん増やすことが重要である。」と、生涯学び続けることの重要性を会場に伝えた。

実際のプロダクトにおけるデータ活用

セッションEdTechが変える英語教育の未来では、
英語のスキルを向上させるという観点での従来の手法ではなくEdtechを活用する利点は何かについて、登壇者が意見を述べていった。

ELSA CEOのVu氏「従来、英語の発音を測定するスコアリングの手法はなかった。私たちは、発音の音声を機械学習で評価し、nativelessという評価手法を作り、0〜100のスコアで表示している。アメリカ人だと95〜100、多くのユーザーが50〜70くらい。これで、発音のアセスメントを定量的なデータで把握することができるようになった。また、自信をもって話せるかを定性面で評価するなどを測定して、サービスの有効性を図っている」と語る。

 

 
レアジョブ 中村「レアジョブは英会話の発話データを持っており、分析し、サービス改善に役立てている。例えば、受講者のレベル別に、どの教材を利用するとスピーキングレベルが上がりやすいというデータがある。データを収集して、教材や講師の教え方の改善をすることで、生徒を英語が話せるようになる、データを駆使しながら人間をアップデートしていける事がEdtechの利点であり未来だと思う。」

大学における活用事例

その後行われたミネルバ大学のセッションでは、テクノロジーを多用した授業を実現していると語られた。ミネルバ大学は、教室という場所の成約がなく、先生・生徒はどこにいてもよいオンラインで授業が行われている大学だ。
 

 
学生視点で、テクノロジーの恩恵を受けていることはあるのかという問いに対して、ミネルバ大学学生 片山氏「(オンラインで行われる)授業では、複数の学生に対して等しい、エンゲージメントを与えることが重要です。そのために、オンライン授業はモニタリングされており、写真にあるように生徒の発話量により色分けされる機能がある。このデータのみながら、先生は授業を進めていく。ファシリテーションをテクノロジーが助けてくれている」と語る。

まとめ

様々な企業や学校、国も含め「データと教育」の未来を描きながらその実現に向けて民間、政府の垣根を超えて共創しながら歩みを進めています。
昨年に比べてもより多くのデータを利用したセッションが多く、進捗を確かに感じました。

しかしながらレポートにもある通り、まだまだ課題は大きく一筋縄でいかないのが現状です。
そんな中でも着実にデータを駆使しながらEdTechの未来を作っていく事が、この国の、ひいては世界の未来を作っていく事を我々は確信しています。