21世紀の子供たちにとって必要な新しい学校教育とは?映画「Most Likely to Succeed」からEdTech企業の役割を考える。

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株式会社レアジョブ R&D室 Innovation leader|向 晃弘
新卒で面白法人カヤックにエンジニアとして入社し、株式会社デザインワン・ジャパンにディレクターとして入社。2015年、レアジョブに入社。アプリ領域の新規事業におけるUXディレクターを経て、マーケティングにも従事。2017年9月より、R&D室の責任者として、「英語教育3.0」の実現に向け奮闘中。座右の銘は「やりたい人はやっている」。

はじめまして、EdTech企業 レアジョブでR&Dを担当している向と申します。
私は日々、「教育の未来をつくる」「R&Dは未来から来た設定でないといけない」と考え、3年後のレアジョブ英会話のプロダクトの姿を想像し、試行錯誤しながらものづくりをしています。

教育業界という、テクノロジーの活用がなかなか進まない業界で、変革を起こしたいと日々思考している中で、映画「Most Likely to Succeed」の上映会と出会い、参加してきたので、教育業界に関わる人に少しでも知ってもらいたく、ご紹介します。

映画「Most Likely to Succeed」とは?

映画「Most Likely to Succeed」は、「人工知能 (AI) やロボットが生活に浸透していく21世紀の子ども達にとって必要な教育とはどのようなものか?」というテーマで、有識者や多くの学校への取材を2年間積み重ね制作されたドキュメンタリー作品です。
Most Likely To Succeed https://www.mltsfilm.org/

工業資産が主流で、仕事はたくさんあり安定していた時代では、統率、従順な集団を作ればよく、みんな同じ知識をもち、ほどほどに教育され、同質的なタイプが評価されてきました。この時代は、標準なテストがあれば十分だった。情報資産の時代に変わり、子供にとって必要な教育は何なのかと映画はスタートします。

映画の舞台は、実在するアメリカのHigh Tech Highという学校です。学費は無料で、生徒はランダムに選出され、生徒の50%は、低所得層の生徒が通うなど、多様性のある学校です。生徒への教え方は、多くが教師個人の裁量に任せられています。

この学校では、黒板の前に教科書を持った先生が立ち、生徒が座席についてノートを取るという一般的な授業風景は見当たりませんでした。先生からプロジェクト型の課題が伝えられますが、その課題へのアプローチ方法は生徒たち個人の自由です。完全な知的自由の環境で、個人で理論を学び、グループで議論をし、クラス単位でプロジェクトのアウトプットとして作品を作り上げていきます。

また、定期テストはなく、学校の先生による評価もされません。勉強の成果は、クラス単位のプロジェクト型で作り上げた作品を披露する展示会が開催され、一般の人や生徒の保護者から評価されます。

知識スキルとソフトスキルのどちらが重要か

「知識は、どこにでもある。インターネット上にある。しかも無料だ。この時代では、知識よりソフトスキルの能力の方が大事な時代にシフトしている」

と映画では言及されています。
これまで通りの知識をインプットするだけの教育では、生徒に一度も自分で考えて行動させないまま、社会に送り出すことになります。
高度情報社会においてやりたいことをやれる人は、

積極的に新しいことを学び、試し、失敗して学ぶ人材

だと言われており、生徒たちに考えさせ、判断をさせる経験を通じて、自らの道を切り開いていく子を育てていく事が重要だと。

映画では、生徒の保護者が、

「大学に入学するための知識も必要だと思う、学校の方針の中にもう少し知識のインプットをする機会がほしい。ソフトスキルが重要と言っていることは理解できるが、学歴社会の時代は残っているし・・・」

と先生に相談する姿も描かれています。

この学校の新しい教育手法の成果は、未だ実証しきれていないということもあり、保護者が悩むのは無理もないと思います。正解がない以上、自分の子供に、どんな環境を用意し、未来に向かってどんな選択肢を与えるかは、それこそ悩み、試行錯誤をしていく中で考え続けないといけないのだと感じました。

映画で密着されている1人の男子生徒は、クラスのプロジェクト作品である、からくり時計を作るべく、機械のみならず、ソフトウェアも組み合わせて、自分の考えを表現していきます。学校のみならず家でも没頭して、自分の考えに向き合って、ものづくりをしていく姿が映し出されます。

単一の物事だけではなく、複数の物事を掛け合わせていかなければならない世界で課題解決をしないといけないことの難しさ、そして、目的意識をもち、没頭できるほど何かに一生懸命取り組むことの大切さを映画では伝えているのかもしれないと思いました。

Most Likely to Succeed Trailer from One Potato Productions on Vimeo.

 

EdTech企業の使命とは何だろう

今後、映画で紹介されていたような「学校は、ソフトスキル(クリティカルシンキング、共感力、想像力など)を学ぶ場所」とした場合、我々レアジョブのような教育サービスを提供するEdTechの事業会社は、どのような課題を解決することができるのだろうと改めて考えてみました。

そこでたどり着いたのが「時間が足りない」という課題です。

今後は、映画に出てきた生徒のように、やりたいことを見つけて熱中していく子どもが増えていくことでしょう。
しかしながら、熱中する対象を見つける時間、考える時間、実現する時間、そして学友と議論する時間……今よりももっと多くの時間が必要となります。

他方で、ソフトスキルを活かすために、英語を含め、今学校で学んでいるような物事の法則やその実現方法など、道具としてのハードスキルも同様に手に入れる必要があります。

そこで我々EdTech企業としてできることは、ハードスキルの効率的な習得を個に最適化された学習法や学習環境を提供することで、「時間が足りない」という課題を解決していく事ではないでしょうか。

R&Dチームの私が目指すプロダクトとは

レアジョブではまだその領域まで到達はしていません。
しかしながら、着実にその実現に向かっています。

レアジョブはEdTech企業として「英語の習得を誰もが確実に出来る世界」である「英語教育3.0」を標榜し、その実現に努めています。

「誰もが確実に」という夢のような話ですが、少し前であれば自動運転も無人コンビニも夢物語でしたが、今やそうではありません。
それと同様に「知識習得」も確実になる世界はやってきます。

そのために今レアジョブでは多くのデータを活用し英語学習×テクノロジーに目を向けています。今後英語学習を効率化し、成果を出して行くには「人」と「テクノロジー」の共存は欠かせません。
それは先生を強化するためでもありますし、私たちの生活に寄り添う形でもあります。
そうなると、知識習得のための無駄な努力は無くなり、先生の役割も変わり、その人の生活に沿った、第一言語習得に近い形での第二言語の習得が叶います。

そこで、まずは「発話」というフィールドから歩みを進めている最中です。

この、我々の進めているハードスキルの効率的な習得は、今後個人だけでなく、学校教育にも影響を与えられると思っています。